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屋根に登らず地上から点検する5つの方法|建築士が教える安全チェック

「屋根の状態が気になるけれど、自分で登るのは怖い」。そう感じている方は、その感覚が正解です。一級建築士の立場で断言しますが、素人が屋根に上る必要は一切ありません。屋根からの転落事故は屋根の不具合より深刻なケースが多く、屋根材を踏み割って二次被害を招くこともあります。今回は、地上に立ったまま屋根の状態をかなり正確に把握できる5つの方法と、後の業者交渉に効く写真の残し方をお伝えします。

目次

屋根に登ってはいけない3つの理由

屋根に登らず地上から点検する5つの方法|建築士が教える安全チェック

毎年、屋根からの転落事故は数百件発生し、死亡事故も少なくありません。プロの職人ですら命綱や安全帯なしでは登らない場所に、保険も装備もない一般の方が上がるのは無謀と言えます。さらに、カラーベスト(化粧スレート)や薄型の瓦は、踏む位置を誤ると簡単にひび割れます。ご自身の点検が原因で雨漏りを引き起こしたケースを、私は何度も見てきました。

そしてもう一つ、悪徳業者の常套手段を知っておいてください。「無料点検します」と言って屋根に登り、わざと屋根材を破損させ「壊れていますよ」と高額契約に持ち込む手口があります。屋根は本来「他人を簡単に登らせない場所」と心得てください。ご自宅の屋根の状態は、後述の方法で十分に把握できます。安全な地上からの点検が、最も確実かつ経済的です。

道具を使う地上点検 3つの方法

①スマートフォンの望遠カメラ
最近のスマートフォンは2〜10倍の光学・ハイブリッドズームを搭載しています。庭や2階のベランダから屋根を撮影し、画像を拡大すれば、棟板金の浮きや屋根材のひび、苔の発生具合まで確認できます。撮影日時が自動記録されるので、半年後・1年後との経年変化の比較にも使えます。

②双眼鏡(8倍程度)
4,000円前後の8倍双眼鏡で十分です。スマホでは画素が荒くなる遠距離も、双眼鏡なら鮮明に観察できます。瓦のずれ、漆喰の剥がれ、谷板金の錆など、細部の異常はむしろ双眼鏡の方が発見しやすい場面が多くあります。

③隣家の2階窓・ベランダから観察
ご自宅の敷地から見えにくい屋根面は、隣家側から見ると一目瞭然です。ご近所付き合いの範囲で「外から屋根を見せていただけませんか」と一言添えれば、多くの方は快諾してくれます。有料のドローン点検を業者に依頼する前に、まずこの方法を試してください。

建物の内側と外側からの観察ポイント

④小屋裏(屋根裏)点検口からの観察
2階の押し入れや収納の天井に40〜60cm角の点検口があるはずです。懐中電灯を持って首だけ入れ、垂木や野地板に黒い染み・白いカビ・断熱材の湿気がないかを確認します。雨染みは雨漏りの動かぬ証拠であり、屋根に登るより安全で、得られる情報は何倍も多いと考えてください。

⑤外壁の汚れ・雨だれで屋根の異常を推測する
外壁を観察すると、屋根の不具合が見えてくることがあります。窓上から下に伸びる黒い雨だれは、軒の水切りや雨樋の不良を示します。外壁にコケや藻が一方向だけに集中している場合、屋根からの水が回り込んでいる可能性があります。「外壁の汚れ=外壁だけの問題」とは限らないのです。

業者交渉に効く写真の残し方

セルフ点検で異常らしき箇所を見つけたら、写真の撮り方が後の業者交渉を左右します。ポイントは3つ。第一に、引きの全景写真と寄りのアップ写真をセットで撮ること。「どこの何が異常か」が一目で伝わります。第二に、同じアングルで定期的に撮ること。半年前と現在を並べれば、進行スピードが客観的にわかります。第三に、撮影日が分かる状態で保存すること(スマホの日時・位置情報を残しておく)。

業者に見積もりを依頼する際、これらの写真を見せると、向こうも曖昧な説明ができなくなります。「これと同じ症状ですよね?どの工法でいくらですか?」と具体的に質問できれば、相見積もりの精度が一気に上がります。逆に、写真を見ても具体的な工法と金額を提示できない業者は、その時点で候補から外して構いません。

まとめ

屋根の点検は「登らない」が原則です。スマホ・双眼鏡・隣家・小屋裏・外壁の5つの視点があれば、素人でもプロの8割程度の情報を得ることができます。命を懸けて屋根に登る必要はどこにもありません。まず地上からの観察を徹底し、その記録を持って初めて業者に相談に行くのが、最も賢い屋根との付き合い方です。

本間屋では一級建築士が非営利で屋根・外壁の相談に乗っています。業者の見積もりが適正か分からない、どこに頼めばいいか迷っている方は、お気軽にご相談ください。

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