「うちは大丈夫です」「ちゃんと保険に入っていますよ」――屋根業者の口頭での説明を、そのまま信じていませんか。実は、業者が本当に必要な保険や資格を備えているかは、依頼者が自分で確認しないと分かりません。ここを飛ばすと、万一の事故やトラブルで泣きを見るのは施主です。
なぜ「保険」と「資格」の確認が必要なのか

屋根工事は高所作業です。職人が屋根から転落して大ケガをする、飛んできた工具で隣家の窓ガラスを割る、足場が倒れて通行人や車を傷つける――こうした事故は、決して珍しい話ではありません。
このとき、業者が適切な保険に入っていなければ、賠償をめぐって施主が巻き込まれることがあります。とくに無保険の零細業者や、無許可で営業している「名ばかり業者」に当たると、事故後に連絡が取れなくなり、結局は持ち家の修繕費を自腹で負担する羽目になるケースすらあります。私が相談を受ける中でも、「安かったから頼んだら、トラブル後に音信不通になった」という声は後を絶ちません。価格の安さだけで選ぶ前に、いざという時に責任を取れる体制があるかを見るべきなのです。
確認すべき2つの保険
まず確認したいのが、業者が加入しているべき保険です。代表的なものは次の2つです。
①請負業者賠償責任保険(工事保険):工事中に第三者の人や物に損害を与えた場合に備える保険です。隣家への損傷や通行人のケガなど、施主に火の粉が及びかねない事故をカバーします。これに入っていない業者は、事故時の賠償能力に不安が残ります。
②労災保険(または民間の傷害保険):職人自身が作業中にケガをした場合に備えるものです。これがないと、屋根から落ちた職人の治療費や補償をめぐって、現場を提供した施主に責任追及が向かうことがあります。
確認の仕方は簡単で、「請負業者賠償責任保険には加入されていますか。保険証券のコピーを見せていただけますか」と尋ねるだけです。まっとうな業者なら、嫌な顔ひとつせず提示します。逆に言葉を濁したり、「口約束で十分」と渋る業者は、その時点で候補から外して構いません。
確認すべき資格・許可
保険と並んで重要なのが、資格と許可です。屋根工事に関わる主なものを挙げます。
建設業許可:1件の工事が税込500万円以上になる場合、業者には建設業許可が必要です。小規模な屋根修理では不要なこともありますが、許可を持っているかどうかは、その業者が一定の経営基盤と実務経験を備えている目安になります。許可番号は名刺やホームページに記載されていることが多く、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で実在を確認できます。
建築板金技能士・かわらぶき技能士:国家資格である技能検定の合格者です。ガルバリウム鋼板などの金属屋根なら建築板金技能士、瓦屋根ならかわらぶき技能士が、技術力を判断する手がかりになります。
資格はあくまで目安であり、資格者が在籍していても施工品質を100%保証するものではありません。しかし「有資格者が一人もいない」「許可番号を聞いても答えられない」業者は、技術面でも管理面でも不安が大きいと考えるのが妥当です。
まとめ:聞きにくいことこそ、堂々と聞く
保険証券の提示や資格の確認は、施主にとって聞きにくいことかもしれません。しかし、これらは依頼者の正当な権利であり、優良な業者ほど快く応じてくれます。「保険・許可・資格」の3点を契約前に確認するだけで、悪質業者や能力不足の業者を大きく振るい落とせます。安さの裏に隠れたリスクを、確認という一手間で減らしてください。
本間屋では一級建築士が非営利で屋根・外壁の相談に乗っています。業者の見積もりが適正か分からない、どこに頼めばいいか迷っている方は、お気軽にご相談ください。