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棟板金の浮きを自分でチェックする方法|建築士が台風前点検を解説

「屋根のてっぺんから板金が浮いている」——台風の後、業者にこう指摘されて慌てて高額契約をしてしまう人が後を絶ちません。実はこの棟板金(むねばんきん)の浮きは、屋根トラブルの中でも最も発生件数が多い症状でありながら、自分でも危険を冒さずに兆候をチェックできる部位です。今回は一級建築士の視点から、梅雨明け・台風シーズン前にやっておきたいセルフチェックの方法をお伝えします。

目次

そもそも棟板金とは?なぜ一番トラブルが多いのか

棟板金の浮きを自分でチェックする方法

棟板金とは、スレート屋根(コロニアル・カラーベスト)の頂上部分に被せてある、横長の金属製カバーのことです。屋根面と屋根面が合わさる頂点をふさぎ、雨水の浸入を防ぐ重要な部品です。この板金は、下地である「貫板(ぬきいた)」という木材に釘やビスで固定されています。

問題は、この固定構造にあります。金属は夏と冬で膨張・収縮を繰り返すため、年月とともに釘が少しずつ抜けてきます。さらに下地の木材が湿気で痩せると、釘の効きが甘くなり板金が浮き上がる。つまり築7〜10年も経てば、どんな家でも起こりうる経年劣化なのです。訪問業者が「お宅だけ特別に傷んでいる」と煽るのは、ほぼ例外なくセールストークだと考えてください。

屋根に登らずできる!3つのセルフチェック

棟板金のチェックで最も大切なのは「屋根に登らないこと」です。プロでも命綱なしには上りません。以下は地上や室内から安全に確認できる方法です。

①地上から目視・写真撮影:晴れた日に、家から数メートル離れて屋根の頂上ラインを見上げます。板金が波打っていたり、一部だけ浮いて影ができていたりしないかを確認。スマホの望遠やデジカメのズームで撮影すると、画面を拡大して細部まで見られます。

②釘の頭が飛び出していないか:ズーム写真で、板金の側面に打たれた釘の頭が飛び出して見える場合は、抜けかかっているサインです。

③室内・天井裏のシミ:棟板金が浮くと、そこから雨水が入り込みます。最上階の天井や天井裏(点検口があれば)に、雨ジミや木材の黒ずみがないかを確認しましょう。

こんな症状が出たら要注意のサイン

セルフチェックで次のような状態が見つかったら、専門家への相談を検討してください。板金の端がはっきりと反り上がっている、強風時に「バタバタ」と金属が鳴る音がする、庭や雨樋に板金を留めていた釘が落ちている、といった症状です。特に釘が地面に落ちているのは、すでに固定力がかなり失われている証拠です。

逆に、よくある誤解も知っておきましょう。屋根の色あせや、表面のうっすらした苔は、棟板金の浮きとは直接関係ありません。これらを根拠に「すぐ全面葺き替えが必要」と言われたら、一度立ち止まるべきです。棟板金の交換・固定だけなら、足場が不要なケースも含めて数万円〜十数万円で済むことが多く、屋根全体の工事とは費用が一桁違います。

まとめ:あわてて契約する前に、まず自分の目で

棟板金の浮きは、誰の家にもいずれ起こる自然な劣化です。だからこそ、業者の言葉を鵜呑みにせず、まずは安全な範囲で自分の目で状態を確かめることが、不要な高額契約を避ける第一歩になります。「浮いている」と言われたら、本当に浮いているのか、どの程度なのかを、写真を撮って冷静に判断してください。

本間屋では一級建築士が非営利で屋根・外壁の相談に乗っています。業者の見積もりが適正か分からない、どこに頼めばいいか迷っている方は、お気軽にご相談ください。

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