「ガルバリウムにすれば30年持ちますよ」——営業マンのこの言葉、信じていませんか?実は屋根の寿命を決めているのは表面の屋根材ではなく、その下に敷かれたルーフィング(防水シート)です。しかし見積書では「ルーフィング工事一式」とひとくくりにされ、消費者にはほぼ情報が降りてきません。今日は一級建築士として、業界があまり語らないルーフィングの真実をお話しします。

屋根材は「傘」、ルーフィングは「カッパ」
多くの方は屋根材(瓦・スレート・金属)が雨を完全に防いでいると思っていますが、これは誤解です。強風時や勾配の緩い屋根では、屋根材の隙間から雨水はごく普通に侵入します。その侵入してきた水を最終的に食い止めているのが、野地板の上に敷かれたルーフィングというシートです。
例えるなら、屋根材は雨の9割を弾く「傘」、ルーフィングは残り1割を防ぐ「カッパ」です。傘がどれだけ立派でも、カッパがボロボロなら中は濡れる。雨漏りのほとんどは屋根材の破損ではなく、ルーフィングの劣化や施工不良で起きている——これが業界の常識です。
グレードによって耐用年数は2〜3倍違う
ルーフィングにはグレードが存在し、価格も寿命も大きく変わります。参考までに、私が現場で把握している目安は次のとおりです。
アスファルトルーフィング940(最廉価品)は耐用年数10〜15年、1平米あたり材工で500〜700円。改質アスファルトルーフィング(中級品)は耐用20〜25年、1平米あたり900〜1,300円。粘着層付き高耐久ルーフィング(上位品)は耐用30年以上、1平米あたり1,500〜2,500円。
30坪(約100㎡)の屋根で換算すると、廉価品と高耐久品の差はおよそ10〜20万円。屋根材を30年持つガルバリウムにしても、下のルーフィングが15年でダメになれば、結局15年目で葺き替え工事が必要になります。屋根材と同等以上の寿命を持つルーフィングを選ばない限り、屋根材のグレードアップは半分意味がないというのが本音です。
見積書でルーフィングの品番を確認する
良心的な業者の見積書には、ルーフィングの具体的な商品名・品番が記載されています。例えば「田島ルーフィング マスタールーフィング」「日新工業 カッパ23」のように、メーカー名+商品名が明記されているかチェックしてください。
「ルーフィング工事一式」「防水シート一式」としか書かれていない場合、現場で何が敷かれるかは業者の裁量次第です。契約後に最安の940品を使われても、消費者にはわかりません。見積もり段階で「ルーフィングはどの商品を使いますか?メーカー名と品番を教えてください」と聞いてみてください。この質問にスラスラ答えられない業者は、施工管理能力そのものを疑ったほうがいいです。
カバー工法では「既存ルーフィング」も要チェック
既存屋根の上に新しい屋根材を被せるカバー工法は、工期も費用も抑えられる魅力的な工法です。ただし注意点として、この工法では既存のルーフィングを残したまま新しいルーフィングを重ねるのが一般的です。築20年以上の住宅でカバー工法を選ぶ場合、下側の古いルーフィングは劣化しきっており、上のルーフィングだけが防水層として機能する状態になります。
つまりカバー工法こそ、ルーフィングの品質が屋根全体の寿命を直接決めるのです。「カバー工法だから安い廉価ルーフィングで十分」と提案してくる業者がいたら要注意。本来は逆で、カバー工法のほうが高耐久ルーフィングを選ぶべき工法です。
まとめ|屋根材より先に、ルーフィングを語れる業者を選ぶ
屋根リフォームの相談で「どの屋根材にしますか?」としか聞いてこない業者は、残念ながら半人前です。一級建築士の立場で言えば、まずルーフィングの仕様を決め、その上で相性の良い屋根材を選ぶ——これが正しい順序です。
本間屋では一級建築士が非営利で屋根・外壁の相談に乗っています。業者の見積もりが適正か分からない、どこに頼めばいいか迷っている方は、お気軽にご相談ください。セカンドオピニオンとして、お手元の見積書のルーフィング仕様をチェックするだけでも、意味のある判断材料になります。